主人公(のちにハンドルネームを「1」から「マ男」へと変える)はある時、3年前に入社した会社で、ある「限界」を感じ、2007年11月24日21時38分07秒44に、この書籍のもととなったスレッド「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」を立てたのだった。主人公はそのスレッドで、その「限界」について伝えるため、入社からスレッドを立てるまでに会社で起きたことを書くことにする。
http://ueharasan.y.ribbon.to/ 原案サイト
―高校中退で中卒、しかも10年近くのニート歴を持つ主人公は、母親の事故死を転機に就職を決意した。
そこで主人公は、中学時代の友人に基礎を教えてもらいながら基本情報技術者試験で国家資格を取ることにし、合格点ぎりぎりでの合格を果たした。その後、いくつもの会社に書類選考で落とされつつも、ある一つの会社で採用されることになった。
しかしその会社はいわゆる「ブラック企業」で、入社当日から残業(勿論夜通しのサービス残業)が出るほどの過酷な仕事を言い渡された。周囲の人物と言えば無能な癖して部下達に仕事を押し付ける上司の「リーダー」に、とんでもなく空気の読めない「井出」、そして実力はあるが何もしゃべれずリーダーに苛められ続ける「上原」。さらにはめちゃくちゃな納期を押し付けてくる取引先。当初からまともに会話ができるのは会社の「社長」と社内で一番仕事のできる「藤田」のみであった。
入社直後の苦境を乗り越えた主人公は社長の提案で入社2週間目にしてあるプロジェクトのリーダーに抜擢される。派遣社員の「中西」という女性も入って主人公はリーダーのつらさを思い知らされることに。そんな新入社員に対する軽いいやがらせが続く中、藤田は常に主人公を支え続け、主人公も藤田を神のように尊敬していた。
その後主人公の受け持ったプロジェクトも成功し、入社1年も経たぬうちに何とか実力を認めてもらえることとなった。だが、プロジェクト終了からあまり時間のたたないうちに上原が精神科に入院してしまう。
さらに追い打ちをかけるように「中卒である」という主人公の学歴が社内でばれてしまい、リーダーたちから罵声を浴びせられた。この「学歴事件」で彼は精神的ショックを受けて、退職を決意する。しかし、この学歴事件は、藤田が主人公を「辞めさせない」ための狙いでもあった。これを機に主人公は、自分とは両極端ながらも、どこか自分と似通った、藤田の壮絶な過去を知る。